『多摩川劇場』@東急多摩川線

中野成樹 『欲望という名の電車をラップにしようとする男の害について』
柴幸男『川のある町に住んでいた』
多摩川線の蒲田駅多摩川駅区間を走る三両編成の電車のなかで、三つの作品を同時上演するというユニークな試み(もうひとつは山下残)。中野成樹の作品が圧倒的に面白く、十分足らずの上演のあいだ、笑いすぎて涙が止まらなかった。金髪のカツラをかぶった中野成樹扮する、ちょっとあぶない女性(独り言をいったりおにぎりを食べたりする)と、ラッパーの電車内の応酬という一発芸的でストレートな小品で、古谷さんが書かれていて思ったのだけれど、テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』のブランチがゲイであるというのはよくなされる指摘で、そういうことも合わさっているとしたら巧妙だと思った(副題で「普段見ることのできないものをじっくり見ようの会」と言っていたが、そういう見ることの欲望と掛けているだけかもしれないけれど)。この作品の説明文には「ヒップホップ的なものに憧れる演劇の人がその演劇的常識にとらわれ、またヒップホップのあり方や現状を知り四苦八苦する様」と書いてあるのだけど、ヒップホップと演劇の関係について、私はヒップホップには疎いのだけど、ヒップホップと小劇場演劇の関係には非常に大事な何かが秘められていると思うので、誰かに書いてもらいたい。