ユリイカ3月号「新しい世界文学」

ユリイカ2008年3月号 特集=新しい世界文学

ユリイカ2008年3月号 特集=新しい世界文学

詳しい目次は以下のとおりです。

【鼎談】「世界文学」 から 「文学世界」 へ / 若島正×管啓次郎×桜庭一樹
【World Literature Now !!】
新しいブーツとすり切れた批評 現代英語圏小説における資本と倫理 / 武田将明
剥き出しの生 ウエルベック以降のフランス文学 / 野崎歓
ポスト〈統一〉のドイツ文学 / 瀬川裕司
イタリア文学における非人間中心主義の系譜 / 堤康徳
物語は続く、それでも、あるいはそれゆえに グラウンド・ゼロアメリカ文学 / 小澤英実
ロシア文学 「亡命」 第五の波、あるいは二一世紀の宇宙犬たち / 秋草俊一郎
マッコンドとクラック 新しいラテンアメリカ文学をめざして / 安藤哲行
中国の村上チルドレンと村上春樹小説の 「家族の不在」
衛慧、アニー・ベイビーにおける 「小資」 文学の展開をめぐって / 藤井省三

【アンソロジー】〜21世紀の世界文学〜
『墓違い』 / ケリー・リンク (訳=柴田元幸
『共同パティオ』 / ミランダ・ジュライ (訳=岸本佐知子
『ロシアン・ディスコ』 より三篇 / ヴラディーミル・カミーナー (訳=秋草俊一郎+甲斐濯)
『ジム』 / ロベルト・ボラーニョ (訳=久野量一)
『動物小寓話』 / イグナシオ・パディージャ (訳=久野量一)
『夕暮れの儀式』 / エドムンド・パス=ソルダン (訳=安藤哲行
『悪魔の日記』 / セサル・アイラ (訳=久野量一)
ベトナム。木曜日。』 / ヨハン・ハルスター (訳=西田英恵)
『七年』 / アニー・ベイビー (訳=泉京鹿)

【インタビュー】
わが世界文学けもの道 そしてさらなる密林(アマゾン)へ / 岸本佐知子 [聞き手=山崎まどか

【本邦〈世界文学〉の過去・現在・未来】
では、圖書室で逢ひませう! 『読まず嫌い。』 序説 / 千野帽子
翻訳小説とふたりのハウザー / 海猫沢めろん
グローバリズムのかげで、祈ること
二〇〇〇年代の若手アジア系小説家による小説を読んで / 江南亜美子
チャイニーズ・イノセンス 郭敬明現象が語るもの / 福嶋亮大

【作家案内】
新しい世界文学の作家たち Words Without Borders より / 藤井光

■今月の作品
  今唯ケンタロウ 伊藤伸太朗 / 選=辻井喬

■われ発見せり
  脱糞とウロボロス / 松井周

めちゃくちゃ読み応えのある一冊になので、まっとうな文学好きのみなさまにもそうでない方にも強烈にお勧めします。新しい世界文学をバランスよく射程におさめて紹介していると同時に、若い書き手や翻訳家たちを集めた「新しい世界文学を担う人たち」紹介にもなっていて、見晴らしもよく風通しもよい素敵な特集になりました。私が「この人よいのでは」と思った方が、素晴らしく面白い文章を寄稿されてて、こういう予想がピタリとはまると鼻高々。私のはすみません、アメリカ文学について書かせていただきました、すみません。アメリカ文学についてはほかにも江南亜美子さんがアジア系移民作家の文学について書かれており、また岸本佐知子さんと山崎まどかさんが女性作家の潮流について話されていて、どちらも触れようと思っていて諸事情(おもに締め切り)により割愛した内容や作品が随所に言及されてて、神がかり的に被らずにすんでいてひやひやしました。私の文章中で紹介したフォアの2作目、やっぱ読み終わってしばらく経って思い出してもやっぱ面白い。訳したかったなあ。

Extremely Loud and Incredibly Close: A Novel

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